Abstract:Wilson病に肝癌を併発した希な症例を経験した.患者32才の男.死亡の6年前から振戦を初発症状とする神経症状を示し,東大神経内科でWilson病と診断された.その後18カ月間ペニシラミンの投与を受け,神経症状はかなり改善されたが,死亡2カ月前から右季肋部痛を訴え当科に入院,肝腫瘤,血性腹水を認められ,肝機能検査,肝シンチグラム,肝エコーグラムの所見などとあわせて悪性腫瘍を疑われた.入院第12日目...Wilson病に肝癌を併発した希な症例を経験した.患者32才の男.死亡の6年前から振戦を初発症状とする神経症状を示し,東大神経内科でWilson病と診断された.その後18カ月間ペニシラミンの投与を受け,神経症状はかなり改善されたが,死亡2カ月前から右季肋部痛を訴え当科に入院,肝腫瘤,血性腹水を認められ,肝機能検査,肝シンチグラム,肝エコーグラムの所見などとあわせて悪性腫瘍を疑われた.入院第12日目に腹腔内への大量出血のため死亡.剖検の結果,肝はWilson病に典型的な病理学的所見を呈するとともに,広範なヘパトーマの合併があり,肺に転移巣を認めた.Read More